Windows3.1との闘い
さて、96年から97年頃は、各企業が電子メールを導入した頃である。
ひとり一台のパソコン装備も珍しくなくなった。
ただし、まだインターネットメールと直接接続するところは少なかったと思う。
社内からWEBの閲覧なんて、もってのほかである。
DOS時代にNETWAREで構築したLANが陳腐化し、あらたにTCP/IPでLANを構築する企業が増えてきた。
私の会社でもLANがスタートした。
ところがWindows3.1でLANを導入したものだから、設定は複雑怪奇で、
ネットワーク業者が大量に入って一台一台にLAN用のソフトインストールと設定作業を行っていた。
私の横で作業しているかなり年配のエンジニアに
「これって、大変そうですけど」
と聞いてみた。「WINDOWS95だと出来ないんですか?」
その人は不満そうにこう答えた。
「そりゃあ、WINDOWS95の方が、標準でLAN設定のソフトが入っているし、はるかに簡単ですよ。」と言う。
では、どうしてWINDOWS3.1かと聞くと、
「わたしもやりたくはないんですけど、御社のシステムの方から何が何でも3.1でやってくれと言われているんです。」
という話だ。
何と言うことかと唖然とした。
挙句の果てに、アプリケーションソフトを統一するという。
表計算はEXCEL、ワープロは一太郎。
全社に御達しが回覧されたが、わたしは猛反発した。
わたしの推奨環境は、WINDOWS95の上で、EXCELとWORDである。
当時DOSでは、LOTUS1-2-3と一太郎を使わせていたが、EXCELのブック機能(シート間の串刺し計算ができる)があるし、使い勝手が格段にいいのでEXCELに変えるのはOKである。
でも、すでに一太郎とWORDはWINOWS3.1でも利用者の逆転現象が起こっていた。
当時でも60%の会社がWORDを採用しているという統計があった。
当たり前である。Microsoft社がWINDOWSを開発したからには、そのWINDOWSに最適化するプログラムを自社用に作るに決まっている。
対して、一太郎はいままでのDOSの使い勝手も維持しながら同時にWINDOWSの統一画面も維持しなければいけなくなる。
結果として、一太郎のWINDOWS版は、DOSで採用されていたESCキーでのメニュー表示を残し、WINDOWSの画面上部からのメニューバーも残す折衷案での登場となった。
後で、情報システムの方に問いあわせたところ、「実は・・・」という意外な答えだった。
「本当はWORD+EXCELで統一したかったのだが、役員の人たちが一太郎に慣れているという事なので。」という内情を知った。
そんな役員は早く辞めてしまえ、と思った。
こうして始まったWINDOWS3.1だが、1年もしないうちに、WINDOWS95へのアップグレードと一太郎からWORDへの変更を余儀なくされた。
それはだれが作業したかというと、システム部門ではなく、委託されたわたしが2晩徹夜でやった。
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