SEOって?
2004年1月のある日、お世話になった昔の上司から久しぶりにメールが届いた。
「ホームページで利益を生み出す方法を見つけたので、暇だったら来ませんか?」
というメールだった。
この上司は、ある会社の社長になっていたので、わたしはその会社まで出かけていった。
それは、SEOの話だった。
SEOとは(Search Engine Optimization サーチエンジン最適化)のことで、
googleのようなWEBのサーチエンジンに検索されやすい様に自分のホームページを最適化することをいうが、
わたしはこの分野で商売が成り立っているのを初めて知った。
その社長によると、社長は、経営の建て直しをするべく、社内にハングリー精神が無いという。
そこで、営業力強化のセミナーに時間を見つけては出席していた。
あるセミナーでホームページをもっと営業戦略に使いなさい、というテーマの講座があったそうだ。
その講座は無料でホームページ作成教室をやるかたわら、ホームページのSEOのことを部分的に教えてくれたという。
その時の資料だと言って見せてくれた。
まず、トップページの作り方が載っていた。
社長が「トップページは洗練されたきれいなものじゃなくて、こういうごちゃごちゃしたものがいいって、その業者がいうんだよ。」
見ると、悪い例として、会社案内のパンフレットの表紙のようなページを紹介していた。
真中にきれいなイラストや写真があって、左に「会社概要」とか「お問合せ」とかのメニューバーが並んでいる整然としたページである。
対して、良い例として挙げているのは、ドラッグストアの新聞折込のような、それこそ、ごちゃごちゃと文字が並んだページである。
「で、社長。」わたしは社長に聞いた。
「この業者はどんなデザインのホームページ作成を売り込んできたんですか?」
「いや、」社長が答えた。
「この業者はホームページはご自分で作りなさいというんだ。作成サービスもやらないわけではないらしいが。」
わたしは内心”この業者は大丈夫か”と思った。
「この業者に頼んだよ。」と社長。
「え〜っ、何をですか?」
「yahooで当社のページが上位ベストテンに来るように依頼した。
検索語句で○○○と入力して上位検索されれば、成功報酬を払う契約だ。」
聞けば、この社長は、自社の新規顧客開拓の必要性を感じており、そのためホームページを作った。
ページは知っていたが、費用をかけたくないということで、自社の社員の手作りだった。
やはりそこは素人の作成なのでデザイン的にはいまいちだった。
わたしは機会を見て、ホームページデザインの業者を紹介しようかと思っていた。
社長はyahooで検索しても自社のページが出てこないことを問題にしており、
まったくの新規顧客、それもメーカーなので、顧客は不特定多数の個人ではなく企業である。
企業からインターネットで認知されることを第一と考えたようである。
「ですが、」わたしは聞いた。「ホームページを根本的に変えなければ、SEOっていったってやりようがないんじゃないですか?」
「それが、このままでいいと言うんだ。サーバーに入り込んでデザインや内容は変えずに何かをいじるらしい。
勿論成功報酬だから、検索で上位来なければ払わなくていい。気軽に契約したんだ。」
果たして、そのページは1ヵ月後、索語句で○○○と入力すると間違いなく上位4,5番目には検索されるようになった。
しかも今までとデザインも内容もほとんど同じだ。
社長がその業者から「検索エンジンにはチェック項目が100個ほどあり、その最適化のノウハウで特許を持っている。」と聞かされたという。
その業者の名前も聞いたが、ここで宣伝する必要もないので、このくらいにする。
わたしもその一部は知っている。
例えば、タイトルタグにキーワードを盛り込めとか、METAタグへのkeyword挿入などである。
SEOについてはいろいろな本が出版されている。わたしも一部は参考にしているが、本当のノウハウは知らない。
言えるのは、地道に内容のあるコンテンツを増やしていくことが一番の早道ということだ。
社長のところで聞いた、「ごちゃごちゃしたページが良い」というのは、人気のあるサイトを見ていくと、なるほど、と思う。
「ごちゃごちゃ」という表現はおかしいが、TOPページにそのサイトで伝えたいすべてが載っていて、そこからすべてのサイトへ最短のクリックでいけるということなのだ。
yahooでもinfoseekでもSHOPサイトでも人気サイトではその辺のところは皆押さえている。
知らないのは、企業で会社案内のようなホームページを凝ったデザインで運用している人間だけだ。
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