はじめにわたしは中高年のネオおっさんである。 間違ってもオヤジではない。ネオおっさんとオヤジとは雲泥の差があるのだ。 ネオおっさんとは、影山貴彦同志社女子大教授が、その著書「おっさん力」(PHPエル新書) の中で発表された造語である。 わたしはどこから見てもおっさんだが、「おっさん」という言葉の響きは少しネガティブである。 ところが頭に「ネオ」をつけてみると、新鮮な感じでなかなかいいのである。 わたしは影山先生のこの「ネオおっさん」という言葉を広めたいと思っている。
影山先生によると、かつて新人類と呼ばれた世代をネオおっさんと呼ぼうと提唱されているが、 わたしは新人類より少し前の世代で、今をときめく長野県知事田中康夫ちゃんと同世代だ。 彼ほどネオおっさんにぴったりのキャラクターはいないのではないかと思うほどだ。 彼の小説デビューはなんとなく、クリスタル(新潮文庫)だった。 私の場合、同時期に学生時代をすごしているわけだが、 『なんとなくクラシテル』という感じで、その差が今のわたしと康夫ちゃんの差なのだと思う。
ここではオヤジとネオおっさんの違いを明らかにしてみたい オヤジとネオおっさんの風貌・容貌オヤジはオヤジ狩りに遭遇するが、ネオおっさんはオヤジ狩りに無縁である。オヤジは小太りで腹が出ている。しょぼしょぼの目つきでほろ酔い気分の千鳥足で夜道を歩いているから オヤジ狩りの標的になりやすい。 ネオおっさんはスポーツクラブやプールで、 それなりに体を鍛えているから、悪党が近寄りがたい雰囲気があるのだ。 オヤジは加齢臭がするが、ネオおっさんは無臭である オヤジはルイ14世並みの臭い匂いがする。 風呂に入らない体臭、ワキガ、タバコのにおいの染み付いた背広、虫歯や歯槽膿漏の口臭・・・ すべてが独自のハーモニーを奏でている。 それを隠すためのコロン、ひどいときにはお部屋の匂い消しを使用するオヤジもいる。 ネオおっさんは、きついポマードやコロンの香りとも無縁である。 プールで泳いで体臭を塩素消毒し、さらにお風呂に入れば、体臭は消えるのだ。 オヤジとネオおっさんの行動パターンオヤジのギャグは「オヤジギャク」だが、ネオおっさんのギャグは「おじさまジョーク」として通用する。「ふとんがふっとんだ」とか 「アルミ缶にあるミカン」とか 「猫が寝転んだ」という ギャグをこっそり インターネットなどで仕入れて 飲み屋とか職場でさも自分の考えたギャグのように使っていないだろうか?
一方、ネオおっさんがさらっとものするおじさまジュークは、もっと高尚である。 例えば、ダンディ坂野の「ゲッツ!!」の指の格好を真似て「フレミングの法則」とかのたまってみる。 オヤジは若く見られると喜ぶが、ネオおっさんは年相応に見られることを喜ぶ これは「おっさん力」(PHPエル新書)にも書いてある。 昔より平均寿命は確かに伸びているし、栄養事情もよくなったから、昔の40歳と今の40歳は違うというのはある程度わかる。 昨今の20歳の荒れる成人式を見ていると、20歳で成人というのはおかしいと思うし、わたしも社会で一人前と認められるようになったのは実感としては30歳からである。 ただし、わたしが30歳のとき見た40歳の人間はどうみたって若くなかった。まだ、30歳なら女子社員から飲みに行こうとお声がかかるが、40歳ではちょっとひいてしまう。 そんな自分が40歳になった時、見ている50歳はあきらかにオヤジそのものでもう、老年に一歩踏み出しているとさえ思ったものだ。 自分がだんだん50歳に近づくたびに、そのことを忘れよう、俺はまだ若いと思いたくなるのは人情だ。でもやはり客観的にみたら、40歳は40歳だし、50歳は50歳なのである。 お世辞で「お若いですね。」といわれてハゲ頭をかいているオヤジ。 ネオおっさんは、「お若いですね。」と言われたら、「まだまだ若輩者で修行が足りません。」と言おう。 オヤジは家では粗大ゴミだが、ネオおっさんは家の中心にいる休日に家の中でゴロゴロして粗大ゴミ扱いされるのは、オヤジである。 ネオおっさんは、自分がゴロゴロするのではなく、自分の分身をどんと置くことで平日でも家での存在感を示す。 何でもいいのだが、おおきなマッサージ椅子なり、デスクトップパソコン一式なり、かさばる物を家に購入しなさい。そして、休日にはゆうゆうと使うのである。 オヤジとネオおっさんの会社生活上司のオヤジはボス、上司のネオおっさんはリーダー部下を持ったら、ボスになってはいけない。 ボスはサル山のサルと同じピラミッド社会の象徴だ。部下を持ったら、部下の苗字は呼び捨て、良くて君付けだ。 もし、ボスの座を追われて、立場が逆転したらどうするつもりだ? ボスは部下になめられまいと、黒っぽい服を着て、ときには凄んでみせる。カラオケでは、自分の嫌いなジャンルの歌は歌わせない。 ネオおっさんはリーダーを目指そう。 上司と部下のピラミッド関係でなく、チームとして機能させるよう、汗を流すのだ。部下にも「さん」付けする。 リーダーは時として交代させられるから。でも、また交代が聞く。ボスは座を追われたらそれまでだ。 ![]() |
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